HOPE LF300Sに乗ってみて

ボートのカタログや、メーカーのホームページからでは分からないところを中心に、ここではいくつかの項目に分けて、
私が実際に使用した感想を書かせていただきました。
独断と偏見によるところも大きいので、参考程度にしていただければ幸いです。

ボートの重さ

HOPE LF300Sの重量42キロという数値は、他の同クラスのボートと比較しても、完全に頭ひとつ抜け出しています。
軽さを重視する私にとって、これはものすごく魅力的で、このボートを選んだ一番の理由でした。
しかし、これが実際に使用してみると、案外重いTT
軽さに対する期待が大きかったからかも知れませんが、
正直、一人でカートップするにはこのボートでも、私にとっては限界に近いような気がします。
他のメーカーのボートは、だいたい48キロクラスが主力のようです。
これらのボートと比べると、カタログの重量は軽くても、長さがやや短いため、カートップする時にはけっこう重たく感じます。
実際には体感する重さは、あまりかわらない印象で、さほどアドバンテージはないのでは?
ちなみに、検査証に記載されている重量は45キロとなっていました。
軽さだけで買うには、少し物足りないかと思います。

走行性

メーカーのホームページを拝見すると2馬力エンジン、2人乗り時でも時速17キロと、スピードが出ることを謳っています。
私の場合は5馬力を搭載し、一人で使用することが多いで、このデータと単純に比較できませんが、
なかなか最高速度は伸びないように感じます。
というのも、低速から中速までは独特のトリマラン形状の船首がうまく波をさばいていると思うですが、
時速20キロ位を超えるあたりから、波をさばききれずに、バウが正面から波を受け止めてしまい、
走行中にブレーキがかかる状態になってしまうからです。
2馬力で使用する時はなかなか20キロを超えないでしょうし、問題はないと思いますし、
どうも、このボートは2馬力を前提に作られているようにさえ感じることもあります。

ただ、決してこのボートの形状が悪いということではありません。
ホープ社独自のこの形状は、本当によく考えられて作られた形だと感心することも多いです。
速さという点においては、やっぱり中央にキールが入った先のシャープな形状の方がスピードは出るでしょう。
ただ、この形状にすると、船内のスペースを犠牲にしなくてはなりませんし、船底の勾配が強くて、釣りにくくなってしまいます。
ホープのこのボートは3メーター1,38メーターのボートとは思えないほど船内は広々しています。
これは、箱形に近い形状であるため、デッドスペースが少なく、また、平らな船底は立った状態でも釣りがしやすいし、
走行中に荷物が真ん中に移動しないのも非常にGOODです。
そういう意味で、多少スピードを犠牲にしても、快適に釣りができる、使い勝手の良いボートに仕上がっていると思います。
速度と広さのは両方満たすことはできません。
その中で、このボートは速度と広さを高い次元でバランスを取ったボートだと思います。

用意撤収

折りたたみボートのフリージアに乗っていたころは、一体型ボートだったらどんなに用意撤収が楽だろう・・・と思っていたけど、
実際使ってみると、案外そうでもないですね。
確かに、スロープを使用できる場所に限ってはそうかもしれません。
でも、そういうところは少ないし、魚も釣り荒れ気味です。
初めてのポイントでは、ボートを下ろせる場所を探すのに、本当に一苦労します。
やっとの思いでボートを下ろせても、一体型のボートが下ろせるということは、他のどんなボートでも下ろせるということで、
やっぱり釣果的には苦戦を強いられそうですね。

その他

この重量のボートで、物入れ、イケスの両方ともついているのは非常にありがたいです。
イケスは小さく、釣った魚を入れることはできませんが、それでも備品や、道具を入れるには最適で、重宝しています。
ガソリン携行缶を入れると、錆びないし、いいですね。
一体型ボートを選ぶ場合、イケス、物入れがあることが大きなメリットだと思います。
特に生餌で飲ませ釣りをする時は、そのありがたみを痛感するのでは?

ドリンクホルダーや、物置スペースは不要では?
あったとしても、もっと少ない方がいいと思います。
小物を置いたりするには便利だけど、撤収時にドレンコックを開けて排水しても、ここに水がたまって大変だからです。
4か所もあるのですが、せいぜい2か所で十分です。

キールにプロテクターが装備されていないのは不安です。
少し値段が上がっても、また、少し重量が上がっても、これだけはあってほしい装備です。
衝撃を吸収しないFRPボートの場合は、長く使うためには、何らかの方法で補強しなくてはならないでしょうね。

バウカバーの形状が平らでなく、大きな段差があるので、カートップする時にここがつかえてしまい、非常に苦労します。
というかは、ノーマルの状態では、車の後ろからカートップはできないのでは?
私はこの段差を埋めるために、スベルレールを2本装着しましたが、手間とコストがかかるのと重たくなるので、
できれば、何もしなくてもカートップしやすい形状に見直してほしいです。

ドレンコックは水を抜くときに脱落することがあるので、注意が必要です。
私は、気付かずに砂浜から出船したときに一瞬で水船になって沈没しかけました。
小さな部品であるドレンコックがないだけでも、その日は撤収するしかないので、無駄なドライブにならないためにも、
注意するとともに、念のために予備を購入しておいた方がいいと思います。

ブルワークの折り返し部分がとても厚く大きくできているので、若干内寸が小さくなるものの、艤装はしやすく、
また、強度はけっこうある方だと思います。
この部分エレキのマウントを取り付けたり、竿受けを取り付けたりする時にも、強度は十分です。
サイドにも段差が有るため、多少内寸を犠牲にしてでも、強度を確保しようとするメーカーの姿勢が見えます。

カタログ上の46センチという深さは、かなり浅くて不安に思いましたが、
フラットな船底に一重底とあいまって、気にする程ではないと思います。
実物を見ずに購入したので、ここが一番不安でした。

剥製工房★GALAXY